【現場監督向け】
現場がわかる工事写真の撮り方と整理方法

建設産業はIT化が他の産業と比べて遅れており、労働人口減少の流れから、一人あたりの生産性向上が急務となっています。

そのような背景の中で、建設現場での業務を効率化させるために、この記事では工事写真にスポットを当ててご紹介させて頂きます。
工事写真管理業務の効率化、生産性向上に向けて是非ご参考ください。

目次

  1. 工事写真とは
  2. 工事写真の撮り方
  3. 工事写真の撮り方が詳しくわかる本
  4. 公共工事の工事写真を撮る場合の注意点(NG行為)
  5. 工事写真の撮影が楽になり、効率化できる方法とは?
  6. まとめ

工事写真とは

工事写真とは工事の着工前から完成までの各段階における施工状況や施工経過を記録し、資料として保存するもの。

工事の検査における記録資料となるとともに、施工時の問題が工事完成後に発覚した際、証拠資料として利用されることもあります。また工事施工途中において異常気象等により被災した際、損害額を証明するための書類となるなど、非常に重要な記録資料です。

工事写真の撮影・記録目的を整理すると次の4つ。

  • 工事の各施工段階における施工状況の記録資料
  • 使用材料の品質、構造物の寸法が設計図どおりであることを証明する資料
  • 工事の施工方法が仕様書に基づいて行われたことを証明、説明するための資料
  • 工事の完了後、維持管理を行うための証拠資料

さらに工事写真の中でも「土木」「建築」「設備」など業種ごとに撮影項目が異なります。
一般社団法人公共建築協会より発刊されている、「国土交通省大臣官房官庁営繕部監修 営繕工事写真撮影要綱(平成28年版)による工事写真撮影ガイドブック(平成30年版)」には、撮影要項や撮影項目を1つずつ丁寧に解説し、かつ業種ごとに発刊されていますので、お読みいただくことをおすすめいたします。

電子小黒板を
今スグ無料で使ってみよう!

電子小黒板付写真を撮影してクラウド共有可能。登録(無料)から最短5分で使い始められます。最大2ヶ月無料。アプリ詳細はこちら

工事写真の撮り方

工事写真の撮影は、記録する資料の目的に沿った写真を撮らなければなりません。そのためには各写真の目的を十分理解した上で、最も適切な撮影の時期、範囲、位置やアングルを考え撮影する必要があります。

またこの工事写真の撮影は現場の一番下の人物や、現場監督経験がまだ浅い人が担当することが多い業務。撮り方の基本知識を押さえておかないと、目的に沿った撮影ができず、確認に時間がかかったり撮り直しができない場合があります。

この章では写真の要素としてとても重要な「撮影の計画」「撮影の構図(5W1H)」から、撮影に必要な段取りを改めてご紹介いたします。

撮影の計画

工事写真を撮るうえで、写真を撮るタイミングが重要です。
施工前の段階で「何を・いつ撮影するか」を事前に計画立てることによって、タイミングを見誤ることなくスムーズに撮影ができます。

例えばコンクリート打設前にある配筋検査では配筋写真を撮る必要があります。この配筋写真を撮り忘れてしまった場合、コンクリート打設後に本当に鉄筋が問題なく組まれていたのか確認ができず、トラブルになったり、工期が伸びてしまう可能性もあります。

ほかにも資材搬入時のトラックを撮影などタイミングが重要な場面が多いため、撮り逃しがないよう、冒頭の「何を・いつ撮影するか」を整理した撮影計画書などを作成し、写真の撮り忘れ、漏れが発生しないように、計画を立てます。

工事写真における5W1H

工事写真は撮影計画に沿い作業進めていくだけではなく、その写真1枚で撮影目的を明確に伝えなければなりません。
その際には「5W1H」の情報をくみ取れる写真になるようにしましょう。

工事写真における5W1Hは次の通りです。

  • When =いつ (時期・加工前後等)
  • Where=どこで(場所・部位等)
  • Who =誰が(立会者等)
  • What =何を(工事種目・分類等)
  • Why =なぜ・何のために(規格・寸法等)
  • How =どのように(施工状況等)

もちろん写真の内容のみで上記を網羅することは難しく補えない情報もあります。
そこで必要事項を記載した工事黒板と、寸法を確認できるよう添尺をすることでわかりやすくします。

電子小黒板を
今スグ無料で使ってみよう!

電子小黒板付写真を撮影してクラウド共有可能。登録(無料)から最短5分で使い始められます。最大2ヶ月無料。アプリ詳細はこちら

工事写真の撮り方が詳しくわかる本

工事写真の撮り方について、設備の中でも電気設備、機械設備現場ごとに必要な工事写真が異なります。

ここでは工事写真を初めて撮るという方におすすめの書籍を厳選してご紹介します。本を購入する際の注意点として、標準仕様書の変更などで改訂版や新刊を出版することがあります。その時の最新の内容で買うようにしましょう。

「工事写真撮影ガイドブック 電気設備工事編 平成30年版」

書籍正式名称
営繕工事写真撮影要領(平成28年版)による工事写真撮影ガイドブック 電気設備工事編 平成30年度版
出版情報
国土交通省大臣官房長営繕部 監修
一般社団法人 公共建築協会 編集・発行

営繕工事写真撮影要領の制定により、国土交通省大臣官房官庁営繕部の監修を受け発行されています。
電気設備工事の現場において、工事の各施工段階における状況をわかりやすく記録写真として撮影する際の留意事項などを、施工の順序に沿い解説しています。

工事写真撮影対象ごとに撮影例があり、撮影のポイントと黒板に記載する内容も紹介されています。電気設備工事の現場で、初めて工事写真を撮る人に対しての技術的参考図書として使用される一冊です。

「工事写真撮影ガイドブック 機械設備工事編 平成30年版」

書籍正式名称
営繕工事写真撮影要領(平成28年版)による工事写真撮影ガイドブック 機械設備工事編 平成30年度版
出版情報
国土交通省大臣官房長営繕部 監修
一般社団法人 公共建築協会 編集・発行

営繕工事写真撮影要領の制定により、国土交通省大臣官房官庁営繕部の監修を受け発行されています。
機械設備工事の現場において、工事の各施工段階における状況をわかりやすく記録写真として撮影する際の留意事項などを、施工の順序に沿い解説しています。

本書も工事写真撮影対象ごとに撮影例があり、撮影のポイントと黒板に記載する内容も紹介されています。機械設備工事の現場で、初めて工事写真を撮る人に対しての技術的参考図書として使用される一冊です。

「工事写真の撮り方 建築編」

書籍正式名称
営繕工事写真撮影要領(平成24年版)・同解説 工事写真の撮り方 建築編
出版情報
国土交通省大臣官房長営繕部 監修
一般社団法人 公共建築協会 編集・発行

本書も営繕工事写真撮影要領の制定により、国土交通省大臣官房官庁営繕部の監修を受け発行されています。

建築の現場において、工事の各施工段階における状況をわかりやすく記録写真として撮影する際の留意事項などを、施工の順序に沿い解説。さらに、国や地方公共団体などの公共建築工事以外にも、一般の建築工事でも活用できる内容です。

「最高の工事写真の撮り方 増補改訂版」

出版情報
中野裕 写真・著
株式会社エクスナレッジ編集・発行(2015/12)

工事写真、建築写真の撮影に精通した中野裕氏によるカメラの基本知識や現場でのカメラの構え方や撮影テクニックをイラスト・実写真を用いてわかりやすく紹介しています。
カラーイラストも多いため、堅苦しい本を読み始めるのに抵抗があるという工事写真撮影の新人に向いてます。それだけでなく、より撮影テクニックのレベルを上げて工事写真を撮りたい人にも新しい発見や気づきが得られる内容となっています。

公共工事の工事写真を撮る場合の注意点

国土交通省の「デジタル写真情報管理基準」では写真編集は認めないという規定があります。(2021年3月現在)よって明るさや余計なものを消すこと、トリミングやパノラマ写真にするための加工などは一切できません。

公共工事の写真を撮影する場合、そのままのデータを提出する必要があるため、撮影時に一層注意を払う必要があります。

改ざんを防ぐために、撮影の時に気をつけるべき点を、例と共にご紹介します。

画像の補正

「暗くしたので明るくした」→改ざんになりNG

露出機能を調整をしながら撮影をしましょう。日差しが強い時間や明るい場所で撮影する際、撮影画面が見づらいことがあります。その際は日陰になるもの(黒いビニール袋や服)を使って即席のひさしを作ると、うまく撮影ができます。

画像のトリミング

「撮影後、被写体を大きく見せたくてトリミングをした」→改ざんになりNG

工事写真をトリミングして被写体を拡大したり、余計なものが映ってしまい隠すために写真を拡大・角度の調整することもNG。撮影直後に写真を見直してこのような不備がないか確認しましょう。

画像の加工

  • 「黒板の内容を間違えたので、正しい文字を加工して載せた」
  • 「映ってはいけないものが入ってしまったため、消した」

→いずれも改ざんになりNG

施工工程を証明する写真において、「あるものを消したり、ないものを加える」ことや黒板の誤りを画像上で修正・加工ことは改ざんにあたります。黒板の内容を訂正したい場合は、工事写真台帳の写真横に記載する文章欄でその旨を記載しましょう。

工事写真の撮影が楽になり、効率化できる方法とは?

ここまで工事写真の撮り方についてお伝えしてきましたが、実際は工事のスピード感に合わせて素早く確実に、たくさんの写真撮影をしなければならず、苦労されている方も多いのではないでしょうか?工事写真業務を効率化するには、「スマートフォンやタブレットに工事写真撮影に特化したアプリを入れる」方法がおすすめです。

また、工事写真台帳ソフトと連携している工事写真アプリを入れることで、より効率化につながる可能性があります。

ここでは工事写真撮影に特化したアプリを入れるメリットについてお伝えします。

メリット(利点):

  1. 電子小黒板を使うことで、黒板を事前にまとめて複数作成ができる
  2. 黒板の位置を調整できるため職人の手を止めずに、
    1人で黒板を切り替えながら撮影を行うことができる
  3. 工事写真撮影後、工種や撮影場所ごとに自動で工事写真台帳に写真が振り分けられる
  4. 電子小黒板で入力した文字情報が自動で台帳に挿入される

特に3、4番目のメリットのように電子小黒板が内蔵された写真アプリが写真台帳ソフトと連動している場合、小黒板上で入力した文字情報は自動で台帳に挿入されます。
黒板の文字情報がそのまま流し込まれるため、写真内の黒板の文字を見て、台帳に打ち込む作業自体がなくなります。

工事写真の撮影は着工から竣工まで、必要な業務となります。
工事写真撮影に特化したアプリを入れることで、台帳への文字入力作業、写真の振り分け作業などを減らすことができ、大きな効率化になるのではないでしょうか?

▶電子小黒板についてもっと詳しく知りたい方はこちら

電子小黒板を
今スグ無料で使ってみよう!

電子小黒板付写真を撮影してクラウド共有可能。登録(無料)から最短5分で使い始められます。最大2ヶ月無料。アプリ詳細はこちら

まとめ

工事写真の目的から撮影での重要なポイントをご紹介しました。

デジタルカメラと木製黒板で撮影していた状況からスマホ・タブレットと電子小黒板で工事写真を撮る状況へ変化してきています。
また撮影の時だけではなく、その後の工事写真の管理にも様々なアプリやソフトが登場しています。

楽になると言えど多忙の中で、新しくツールを導入することは面倒でハードルが高いと思ってしまうかもしれません。

ですが、人材不足と言われている建設産業において、1人でも負担が減らせることを考えると、工事写真撮影に特化したスマホ向けアプリやタブレット、工事写真管理ソフトを導入することで効率的に工事写真業務を行なえる可能性が高まります。

どれを選べばよいかわからない!すぐに決めたいという方は、「販売実績が高く、導入現場数が多い」ものを基準にを選ぶと良いでしょう。

電子小黒板を
今スグ無料で使ってみよう!

電子小黒板付写真を撮影してクラウド共有可能。登録(無料)から最短5分で使い始められます。最大2ヶ月無料。アプリ詳細はこちら